今日はタイでの建物登記についてお話しします。M&Aのプロセスにおいては、建物の所有権に関する議論がよく行われます。
タイの土地にはさまざまな種類の権利証書(Title Deed)が存在しますが、中でも最も一般的なのは「Chanote(チャノート)」です。この文書には土地の詳細情報や所有者、境界線、地積などが詳細に記載されています。また、土地の使用制限に関連する抵当権やリースなどの情報も含まれています。
しかし、建物には土地と異なり、所有権を明確に証明する権利証書が存在しないことが一般的です。一般的には、土地の所有者がその土地に建てられた建物の所有者とみなされます。
ただし、土地と建物の所有権が異なる場合、所有権を判断するためには以下の文書を確認する必要があります。
地上権の登録(CCC第1410-16条):土地の所有権と建物の所有権が異なる場合、地上権の登録が行われます。
建築許可証(CCC第146条第2項):有効な建築許可証の有無も所有権の判断に関わります。建物の合法性を示す重要な要素です。
売買契約証書(土地局発行):土地と建物の所有権を確認するために、土地局が発行する売買契約証書も重要な文書です。
特にタイの工場や倉庫を買収する際には、建物登記に関する議論が生じることがあります。過去に売買取引が行われていない場合は、権利証書に土地と建物の所有権が異なる記載がないかを確認します。もし異なる記載がない場合は、建築許可証の有無を確認する必要があります。
実際には、小規模な建物の場合、建築許可証を取得せずに建設が行われることもあります。その場合は、土地の所有者が建物の所有者とみなされます
建物の所有権に関しては日本と同様に最終合意者において表明保証が提供されます。
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