タイでの**E-Bidding(電子入札)**は、公共調達における入札プロセスをデジタル化し、効率的かつ透明性を高める重要なツールです。この記事では、タイのE-Biddingプロセスに参加する際に知っておくべき実務的なポイントや、注意すべき条件について詳しく解説します。
入札の範囲は、業種、内容(調達、サービス)幅広く存在するので、下記記載に限らず、ケースバイケースで検討する必要があります。
1. 予算枠とその使い道に関する注意点
タイの公共調達においては、予算の使い道は厳密に管理されています。政府予算は税金で賄われているため、割り当てられた予算枠は指定された用途にしか使用できません。例えば、水道代の予算枠が設定されている場合、その予算はすべて水道代に使われるべきです。
ただし、公共団体が税金以外の収益を得ている場合、その収益は公共団体自身の裁量で使うことができ、国レベルの規制を受けることなく予算割り振りが可能なケースもあります。このような収益には、公共施設の利用料金やその他のサービス提供による収入が含まれることが多く、特定のプロジェクトや必要な支出に対して柔軟に利用できます。
2. 随意契約と入札契約の境界線
タイのE-Biddingにおいては、随意契約と入札契約が区別されており、特にサービスや商品の提供に関しては、随意契約の上限が50万バーツとなっています。この50万バーツという金額が、年間の総額やプロジェクト全体の予算を指すのか、それとも個別の請求書ごとの金額を指すのかは、案件ごとに異なる場合があるため、事前に確認が必要です。
もし50万バーツを超える支出が見込まれる場合、入札が必須となります。随意契約を適用する際には、契約金額や予算枠、それに対するサービス範囲を明確に担当者レベルで把握し、入札が必要な場合には適切なタイミングで手続きを進めることが重要です。
3. E-Biddingに必要な書類と登録情報
タイのE-Biddingに参加する際には、オンラインで必要な情報や書類をアップロードする必要があります。ここで注意すべき点は、TOR(Terms of Reference)に明記されていない場合でも、代表者として、タイ人役員(ID番号)が必要です。
また、株主構成に関しても、25%を超える株主の情報を更新するのですが、タイ人またはタイ企業でなければならないという条件が存在する場合もあります。もし全ての株主が外国人である場合、システムでエラーが発生し、登録が完了しないケースもあります。
4. E-Guaranteeと現金保証の違い
E-Biddingでは、**E-Guarantee(電子保証書)**による保証金の支払いが一般的です。E-Guaranteeは銀行によって発行され、オンラインで手続きが完了するため、迅速かつ安全に保証金を提供することができます。しかし、場合によっては入札締め切りまでにE-Guaranteeを取得できないことがあります。その際は、現金で保証金を支払うという選択肢もありますが、これはE-Guaranteeとは異なり、手続きが煩雑になる場合があります。
現金での支払いはシステム外で行う必要がありますが、その場合でも、E-Biddingのシステム設計上、何かしらの資料を入札時にアップデートすることが必要です。
最後に
タイのE-Biddingプロセスは、デジタル化され効率化されていますが、実際に参加するには、随意契約と入札契約の違い、必要な書類や株主構成に関する注意点、E-Guaranteeの手続きなど、実務的な側面をしっかりと理解しておく必要があります。TORもきちんと読んで理解することが必要です。シンプルなTORであっても、資格、サービスなどで、条件が一部当てはまらない事項が、しらっと入っているケースもあります。
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